(1)水産工学技士とは
「水産工学技士」は、水産工学技士養成講習会の受講後に実施する試験に合格した者を水産生物環境に配慮した水産土木事業に関する知見と技術を有すると認めた者として認定する民間資格で、環境への配慮が必要な漁港漁場整備における施工環境管理者の資格要件に採用される等、下記のような資格の活用事例があります。
(2)水産工学技士養成講習会の概要
水産工学技術は、水産学と土木工学が融合した学際的な境界領域に属した技術分野であり、大学等でも水産工学技術者の養成教育が行われていないことから、漁場整備事業の創設期(昭和50年代)より、水産土木事業の担い手となる水産工学技術者の育成とそれを担保する資格制度の設置が漁港漁場建設業界から要請されていました。このような状況を受けて、当センターでは設立当初の昭和61年度から、体系的に学習できる講習会として水産工学技士養成講習会を実施してきました。
現在、水産工学技士養成講習会は、水産工学技術の「総論」「基礎」「調査」「計画」「設計」「施工管理」「維持管理」に関する各分野(計18講義)ににわたる内容の講義が行なわれております。
なお、当初は当センターの自主事業でしたが、水産庁との共催、農林水産事務次官通達に基づく開催などの変遷を経て、現在は(一社)大日本水産会、(一社)水産土木建設技術センター、(公社)日本水産資源保護協会の3団体が共催して実施されています。
(3)水産工学技士の役割と活用事例
「水産工学技士」は水産生物環境に配慮した水産土木事業に関する知見と技術を有する者として、令和6年度当初時点で7,723人の水産工学技士が全国各地で活躍しています。また、水産工学技士の資格保有者による、以下のような資格の活用事例があります。
1)都道府県や市町村が実施する漁港漁場工事(公共事業)での活用事例(施工環境監理者)
平成13年に制定された水産基本法では「事業の実施にあたっては、水産業をとりまく自然環境の保全、美しい環境の形成等に配慮する」ことが求められ、平成15年に「漁港漁場工事等施工環境監理者配置要領」が制定されました。この要領では、都道府県や市町村が公共事業で漁港漁場等の施設の整備の工事を行う場合には、周辺海域の自然環境や水生生物の生息環境に配慮した施工を管理する者(「施工環境監理者」という。)を適正に配置するものとして、請負者に施工環境監理者の配置を義務付けられています。
施工環境監理者の有資格者としては、技術士、技術士補のうち水産部門(水産土木)及び水産工学技士(水産土木部門)とされており、水産工学技士はその有資格者となることができます。
2)水産庁直轄事業等での評価
水産庁直轄工事の総合評価落札方式において、水産工学技士の資格保有者を対象として評価(加算点)がなされています。(水産庁直轄工事における総合評価落札方式の運用ガイドライン(令和5年4月
水産庁 漁港漁場整備部)
水産庁が発注する漁港漁場関係工事に係る発注者支援業務において、水産工学技士の資格保有者で漁港漁場関係の実務に3年以上従事している者は、「管理技術者」「担当技術者」の有資格者となることができます。(漁港漁場関係工事発注者支援業務共通仕様書(令和4年4月
水産庁漁港漁場整備部)
(4)水産工学技士 関係企業等名簿(令和6年3月末時点)
水産工学技士が所属する関係企業等名簿を発行しています。本ホームページには、下記により都道府県別の企業名簿等(PDF版)を掲載します。更に詳細等をお知りになりたい方は当センター普及部(TEL 03-6260-6011)までご照会ください。